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本当にコミュニケーション重視?
2016年 3月 21日(月曜日) 00:00

さて、ここで衝撃の事実をお伝えしましょう。私は今でも中学・高校で教員をやっていますが、私が知っている範囲では、今、2016年の時点ですら、少なくとも高校では「コミュニケーション重視」などではないのです。



専門家の先生ご自身も、そういう実態について書かれています。(『「授業は英語で行う」への異論』)


(「英語の授業は英語で」という方針は)教員の指導実態と整合しない「大半は英語を用いている」高校教員は、「OCI」で21.5%、「英語I」で1.1%、「リーディング」では0.4%、「半分以上は英語を用いている」は「OCI」で33.3%、「英語I」では8.4%、「リーディング」で4.3%(文科省2013年)。過労死線上の教師。教員査定の「踏み絵」に使われかねない。


(英語の先生に「授業で英語を話してくれ」というのが、なぜ「過労死」につながるのかも理解に苦しむ点ですが)この結果をみると、高校ではまだまだミュニケーション重視の教育など行われていないと言えます。今までの話は何だったのでしょうか。行われてもいないことを「学力低下」「英語嫌い増加」の原因としていたのでしょうか。


確かに、20年以上前に比べれば、「OCI(「オーラル・コミュニケーションⅠ」)で21.5%」というのは、かなりの変化と言えるかもしれません。しかし、この数字も素直に信じるわけにはいかないのです。


この数字がどのように算出されるのかご存知ですか。文科省や教育委員会の職員が全国の高校を抜き打ちで回って、廊下で授業をこっそり見て調査するのでしょうか。官僚はそこまでヒマではありません。実態はこうです。


教育委員会から、副校長あてに「アンケートを実施していついつまでに提出せよ」という依頼が送られてきます。その紙が「忙しいとこ悪いけど、来週までにこれ頼むよ」と英語科主任に渡されます。英語科主任は、英語科の会議で、他の教員に聞いて数字を書き込みます。会議ができればいいのですが、忙しくて集まれないこともしょっちゅうあります。そうなると1人1人、職員室をまわって聞かなければなりません。


先生方も度々言っていますが、学校現場は本当に忙しいのです。特に教科の主任になるような先生は他にもたくさん仕事をかかえています。一日中校内を走り回っています。他の先生も忙しい。他の先生に話を聞きたくても、自分も忙しいし相手も忙しいので、つかまらないこともしょっちゅうあります。


しかし、期限までに出さなければいけない。期限を過ぎたら、教委から怒られます。そこで、「もういいや、たぶんこんな感じだろう」と、適当に書いて出してしまうこともあるのです。


また、「英語の授業でどのくらい英語を使っているか」と聞かれたら、「指導要領通り英語でやっていないと文句を言われるかも」と思う先生もいるでしょう。ついつい「水増し」した数字を提出することもあると思うのです。実際、先生のブログでは「教委が見に来るときだけ英語で授業をする」という先生の話が紹介されています。(『「授業は英語で」の重圧感(高校教員から)』)


座談会でも、専門家と呼ばれている先生方がこんな話をされています。


鳥飼先生:「(新学習指導要領で)「英語表現Ⅰ」っていう科目があるんですよね。それで、今年初めて検定教科書の採択が決まって…」

江利川先生:「蓋を開けてみたら。」

鳥飼先生:「シェアの半分が文法重視の方に行っちゃったっていうね。」


そうなのです。新学習指導要領の目玉、「英語表現Ⅰ」の教科書ですら、実際は昔ながらの文法教科書と大して変わらないものが多いのです。このように、コミュニケーション重視の授業をしている高校の先生は今でも少ないということを、先生方自身が認めていらっしゃるのですから、「コミュニケーション重視で学力が下がった」という主張も、前提から崩れてしまっているのです。