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[学校英語コラム]コミュニケーション重視で学力は下がったか?
2016年 2月 22日(月曜日) 00:00

1990年以来、文科省はコミュニケーション重視の英語教育をすすめようとしてきました。その結果が「英語学力の低下」と「英語嫌いの増加」になったとのことです。専門家と呼ばれている先生方はこう指摘されています。




「オーラル重視に傾きすぎた結果、文法がわからない生徒が増え、特に表現力が定着していないのが現状です。」



私が気になるのは、どのような調査方法で文法がわからない生徒が増えと分析されたのか、ということです。文法に関しては「わからない」と「できない」は違います。現在完了の用法をちゃんと説明できなくても、現在完了を使って、ほとんどの英語話者(非ネイティブも含めて)が理解できる文を書いたり話したりできれば、本人が「わからない」と言っても文法を習得していることになります。


生徒はよく文法がわからないと言いますが、よくよく聞いてみると、継続や結果といった文法用語がわからないだけということがほとんどです。表現力が定着していないというのも、四択や並び替えの文法問題だけではわかりません。


ここで少し、私の生徒のことをお話します。私は、中1から中3の夏休み前まで、授業で文法の説明は一切行っていません。多読・多聴と並行して、フリーライティングやフリートークで、間違ってもいいからとにかくたくさん書く・話す授業を繰り返しやっています。生徒が自分で考えたこと、自分で伝えたいことを書いたり話したりするのです。まさにコミュニケーション重視です。


ベネッセGTECテストのライティング部門のスコアを見てみましょう。GTECテストは、模試とは違って英語の「コミュニケーション能力」を測るテストです。リーディング、ライティング、リスニングの3つのパートで構成されています。


ライティング部門の全国平均は「1年102→3年106」です。ここ数年ではほとんど伸びていません。しかし、私の生徒の平均は「1年69→3年104」と大幅に伸びいるのです。「表現力」が定着していると判断できるでしょう。1年の時の平均点を見れば、もともと英語が苦手だった生徒だということがわかりますが、これは大学の先生方が指摘されていることの全く逆の結果、つまり、「コミュニケーション重視の英語教育で表現力が伸びた」ことになってしまっています。


もちろん、GTECテストの妥当性を検討する必要はあります。一体何を根拠に「表現力が定着していない」としているのでしょうか。私が見た印象では、やはりこのテストは語彙や文法項目をどれけ暗記しているかを測るテストのようです。


「高校入学時の英語学力は1995年から20年連続で低下し、下落幅は偏差値換算で7.5にも達しています。」



偏差値換算といわれると、納得される方も多いと思いますが、ちょっと待ってください。偏差値で比較する前に、まずはテストの中身を見なければなりません。つまり、コミュニケーション重視型のテストなのか、文法和訳重型のテストなのか、その内容を検証することなく偏差値だけを取り上げても、正確に比較することは不可能でしょう。


学力比較は、それほど簡単なものではありません。安易に学力が下がったと言うのは、根拠もなく国民を脅してしまうことにもなりかねません。


ところで、英語というものは、暗記した知識が多ければ多いほど使えるのでしょうか。少なくとも、指導要領がコミュニケーション重視にシフトした1990年以前に高校生だった方は、相当量の単語や熟語、構文を暗記したと思います。それで、英語が使えるようになりましたか。もしなっていたとしたら、今頃日本中がこんなに英語英語と騒いでいることなどないでしょうし、みなさんもこんなコラムを読もうとは思わないでしょう。


「とりわけ、英語が週4時間から3時間に減らされた「平成十(2002)年 改訂指導要領下での低下の程度が大きいことがわかる」



ということは、「授業時数が減った」ことが学力低下の原因と考えるのが普通だと思いませんか。学校の授業は、1年間に30週程度です。週に1時間減るとすれば年間で30時間減ります。3年間で90時間減ったということです。週4時間でやっていたときと同じテストで測れば、点数が下がるのはあたりまえでしょう。


また、学力が下がったのは英語だけなのでしょうか。特に低下の程度が大きくなったという2002年以降というのは、インターネットや携帯電話が爆発的に広がった時期です。私は、授業中に生徒がスマホに触ったりしたら、その場でとりあげていますが、先生はみんな苦労しています。家に帰ると、「いつまでスマホいじってるんだ!」と中学生のこどもを怒鳴る毎日。中高生にとって、インターネットとスマホの威力はとてつもなく大きいのです。


テレビやマンガの比ではありません。パソコンやスマホが手元にあれば、YouTubeで動画を見て、友だちとLINEして、音楽を聞いて、マンガもゲームも楽しめる。ありとあらゆる娯楽メディアに没頭してしまいます。英語以外の教科でも、学力が下がっている可能性が高いのではないでしょうか。


ちなみに、アメリカのカイザー財団というところが、2010年に報告書を出しています。それによれば、アメリカの8歳から18歳までの子どもの娯楽メディアに接している時間が激増しており、その結果、授業中の集中力が低下したり、家庭での学習時間が減っているそうです。


いろいろ考え合わせると、コミュニケーション重視の英語教育が、英語の学力低下につながったという理屈は、相当無理があると思いませんか。