商社マンの英語習得術を引き続き見ていきましょう。
さて、ある日、TOEICとだけ件名が記されたメールが、丸紅の浅岡将太さんへ送られてきました。それは海外へ異動した上司からでした。浅岡さんのそれまでのTOEICスコアは420点でした。浅岡さんの上司も異動するまでは「英語なんて何とかなる」と言っていたそうです。
しかし、あまりの英語力のなさに上司の方は業を煮やしたのか、浅岡さんに英語を真剣に勉強するようハッパをかけるためのメールだったのです。浅岡さんは追い詰められたせいか、最低1年間は腰を据えて英語を勉強しようと心に決めました。
結果的に、浅岡さんは730点までスコアをアップさせることができました。その大きな原動力になったのは家族や同僚を巻き込む方法でした。まず、夫を心配した浅岡さんの奥さんは、2,3の英会話スクールのパンフレットをもらってきました。
そして、英語学習をけしかけた上司とは別の上司が、先生役を買って出てくれました。この上司が提案した学習法が、毎日5,6本の気になる英語ニュースを要約して上司にメールするという宿題でした。
その上司は国内外の出張先でもどこでも、本当に毎日欠かさず要約文を手取り足取り添削してくれたそうです。また、TOEIC対策の公式問題集や英会話スクールも試しましたが、英語学習を継続できた一番の理由は上司からのプレッシャーだったと浅岡さんは言います。ここまで面倒見の良い上司はなかなかいませんが、上司や同僚に英語学習をしていることをアピールすることは自分へのプレッシャーにもなるのでとても有効なのです。
一方、住友商事の佐藤怜子さんの英語学習は情報収集から始まりました。社内の同僚や部署の先輩の他、自身の出身大学のネットワーク人脈をたどって、どのような学習方法が効果的なのかを経験者たちに緻密なリサーチを行ったのです。
そうして出来上がった佐藤さんの英語学習法は、単語、文法、TOEIC模試、リスニングなどそれぞれのカテゴリーにつき一つだけ、自分のレベルや正確に合った教材や英会話スクールを選ぶことになったのです。
これだけのフルコースを毎日こなすのは至難の業でしたが、それでもさすがに毎年東京マラソンやホノルルマラソンに出場するアスリートだけあり、時間活用の仕方にも長けていたということでしょう。
佐藤さんの朝は早く、朝6時から30分ほど軽くジョギングをすることから始まります。同時にスマートフォンにヘッドフォンを差し込んで英語のリスニングをやっているのです。ダイエットをする上に、英語も上達するというのは正に一石二鳥です。
前日、どんなに仕事や勉強で夜遅くなっても、ベッド横にランニングウェアを準備しておけば生きた瞬間に覚悟を決められるというのです。英語学習で大切なことは、毎日同じメニューをやり続けるルーティーンの維持とモチベーション継続なのです。
佐藤さんは、朝1時間、昼1時間、夜は英会話スクール(マンツーマンレッスン)で1時間の最大3時間、少なくても2時間を英語学習に確保するよう努力していました。日本にいながら英語漬け生活はつくれるものなのです。
いまや、TOEICスコアは880点にまでアップし、テスト対策よりもビジネスで使える英語へと学習法をシフトさせているのです。
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