ガチガチの英文法でも教科書から学べることはある<英会話が上達しない本当の理由> |
2017年 4月 10日(月曜日) 00:00 | |||
以前、勤務している某大手英会話スクールのカナダ人講師に「君はその辺のアメリカの大学生よりも上手な英語を話すね」と言われた事がありました。うれしい事ですが、これは皮肉にも受け取れるのです。 あまりにもきれいな文法だからでしょう。当然です。なぜなら、学校で×をいっぱいもらったせいで、私の英語は文法に忠実なのです。英語が母国語の人の英語にでさえケチをつけたくなってしまうのです。 先日Facebookをチェックしていると「I'm a idiot.(俺はバカだ)」と言う文章が目に入りました。これは「I'm an idiot.」が正解です。娘が中学校でaと書いたら×をもらいます。でも、アメリカ人の投稿者が書いているのだから、もはやaもanもどうでもいい事を意味します。なぜ日本では大きな×がついてしまうのでしょう。 例えば、私は仕事上中国から商品を輸入する事がありますが、「Do you have stock in your office?(在庫は社内にあるの?)」と聞くことがあります。文法的にはDoで聞かれたのだからDoで答えるのが適当であり、〇をもらえるのは「No, I don’t」です。ただ、英語が堪能でない仕入れ先だと「No, I have not」と答えてきます。 私は日本の英語教育で「Have+過去分詞」と叩き込まれているから違和感を覚えます。でも、情報の伝達をベースに考えると「持っているか、いないか」を知りたいのだから、彼女の英語の小さな文法的ミスは気にする必要はありません。 しかし、なぜか気になるのです。これこそ、日本の間違った英語教育のなせる業としか言いようがありません。言語はコミュニケーションツールなのですから、相手の情報の伝え方にケチをつける勉学ではないのです。自分の発信したい情報がどんな形であれ伝わればそれでいいのです。 教科書英語も悪い事ばかりではありません。少なくとも英文法の基本は学べます。しかし最終的に語学と言うのは、使えなければ意味がありません。私の奥さんは海外在住経験がないのだから、使っている英語はほぼ中学校英語になっています。 どうやって独学で英語を学んだのかよく人に聞かれるそうですが、中学校の英語を勉強すればほぼ話せるレベルになると思っていいのです。ただ、その基本をどう利用するかが問題なのです。 第一、普段話している日本語の方がはるかに難しく感じられます。日本語がどれだけ難しいか説明する時、一番いい例が「I(私)」です。日本語では、私、あたし、俺、僕、わし、おいらなど色々な言い方があります。英語ではどれだけ辞書で探しても「I」しかありません。 それは「You(あなた)」も同じです。日本語で「You」が何種類あるのか考えてみると、そんな多様性に富んだ言語を操っている日本人が英語ができないわけがないとまず信じてほしいのです。そうすれば英語アレルギーを患っている人たちも減少するのではないでしょうか。学校を卒業すれば×をつける輩はいなくなります。卒業してからが、本当の英語の練習の始まりと言えるでしょう。そこには×がないからです。 先日、私の奥さんと一緒にアメリカ人の友達の日本滞在をお手伝いしたのですが、彼はその日に都内でダンスのコンテストがあって一人で出かけていきました。私は仕事があったので同行できなかったのですが、彼は帰り道、完全に半泣きで私の奥さんにチャットを入れてきました。「みんなが俺の事変な目でみるんだよ。それに誰も英語が話せないんだ」。 そりゃそうでしょう。日本で黒人はあまり見かけません。それに彼は背が高く、髪形もダンサーっぽいドレッドヘアーでした。「助けて~今電車に乗っているんだけど、ここでもみんな変な目で俺を見るんだよ」。 私でも彼のような人物が電車に乗っていたら、一瞬チラ見はしてしまうでしょう。それから彼はこんなチャットを送ってきました。「君がなんで英語が喋れるのか俺は聞いたことがあったっけ?」私は「NO」と答えました。 結局、私の奥さんは私にその質問をすることはありませんでした。私も一度も説明していません。もし、聞かれたとしても私の奥さんは説明のしようがないからです。海外で暮らしたことはないし、義務教育で勉強したのとYoutubeで鍛えたリスニング、それしかないからでしょう。何度も言いますが、大手の英会話スクールに通ったり、聞くだけ教材にお金をかけたりなど特別な事は何もしていないのです。
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