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楽天とユニクロの「社内英語公用語化」にだまされるな
2012年 4月 19日(木曜日) 00:00

2011年6月にインターネット専業広告代理店の最大手であるサイバーエージェントが全社員(1000人)に英語教材を導入したと報じられた。これは英語を社内公用語化にすると宣言していた楽天とユニクロに続く動きで、ベンチャー企業はまだまだ出てくるだろうと予測していたのだが、私が勤務しているアメリカ資本の大手IT会社ではいまだに公用語は日本語である。社員のほとんどは日本人なのだから当然のことである。英語を使う必要性はほとんどないといっていいだろう。


楽天もユニクロも、これから純粋な日本企業であり、これから海外に打って出ようという考えであるならば理解できる。楽天社長の三木谷氏は、「いきなり明日から英語をしゃべれというのは無理な話なので、2年間の猶予を与える。2年後に英語ができない役員はみんなクビ」と宣言した。今日が2012年3月14日なのでとうに2年が過ぎた。果たして実際に社内公用語化は進んでいるのか調べてみた。


楽天を世界一のインターネットサービス企業にするためとして、三木谷社長が「宣言」した英語の社内公用語化であるが、2010年1月から役員会議でまず導入し、幹部会議、一般業務へと広げてきたようだ。


「かなりの社員が、すぐに音をあげるんじゃないか」。当初、人事部の英語化推進プロジェクトリーダーはそう予想したが、取り越し苦労だった。ほどなく、部署によっては国際英語能力テスト「TOEIC」の個人スコアを張り出し競い合う、進学塾と見まがう光景が出現した。


今では、ほぼ全ての会議とメール、社内用SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)への投稿も英語だ。社員はMikeなどニックネームの名札を付ける。三木谷社長が日本語で話すのを聞いたことがない新入社員もいる。


「最初は、日本人同士なのに英語で話したり、上司をニックネームで呼ぶのが恥ずかしかった」と打ち明ける社員もいるようだ。英語導入当初のTOEICは600点で「限られた範囲内では業務上のコミュニケーションができるレベル」。会議では日本語交じりにしたり、ホワイトボードに英単語を並べたりして意思疎通を図った。「日本人同士の方が、かえって文法の間違いが気になった。内気な人には日本語でしゃべってもらい、周囲が通訳したこともありました」と苦労を振り返っている。


一見、非効率なようだが、日本語だと長くなりがちな報告メールは短くなり、資料の翻訳も不要になったようだ。業務軽減の部分もあることが分かってきたという。


楽天の場合は、英語公用語化への正式移行を今年7月とするが、着々と進んでいるようだ。


一方、ユニクロを展開するファーストリテイリング(柳井社長)は、一足早い2012年3月から「母語が異なる人が対象の資料や会議は英語」が必須になる。本社社員と店長の約2500人はTOEIC700点以上が義務化された。社内向け学習プログラムやTOEIC受験は「業務」と位置付けられ、不参加の社員に対しては「怠けている」として受験料などの返却を求める。楽天とは温度差があるものの、経歴アップに英語が欠かせないことに変わりはない。


 企業の英語化は約10年前にカルロス・ゴーン社長を迎えた日産自動車などが唱えて話題を呼んだが、日産は公用語とはせず、役員が出席する経営会議などだけを対象とした。とはいえ、日本でTOEICを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会による上場企業約300社の調査では、7割が英語コミュニケーション能力の必要性が高まっていると回答。TOEICのスコアを昇進・昇格の条件にしている企業は17%で増加傾向にあるようだ。