日本企業は日本の大学生(新卒)を見捨てている |
2012年 5月 24日(木曜日) 00:00 | |||
2012年1月、ソニーは新卒採用のうち30%以上を、パナソニックは80%以上を外国人にすると報じられた。もっともこの外国人とは英語圏だけではなく、中国人やインド人がほとんどを占めることになるだろう。 日本国内の需要が望めないから中国やインドなど新興国で事業拡大しようという選択なのだろうが、海外支店だけではなく、日本国内の本社までもが外国人を増やすことに意味があるのだろうか。 2007年暮れのリーマンショック後、日本国内は就職氷河期に突入し、正社員になれずに就職浪人する学生が増えていることは誰もがニュースで見たことだろう。国内の学生のことを考えず、むしろ日本の学生を切り捨てて外国人を選ぼうとしている。アメリカやヨーロッパなら、そのようなメーカーの製品は買わないとボイコットが起きても不思議ではないほどだ。 日本の大企業の幹部がネイティブ並みに英語が流暢に話せるとは思えないが、自分はできないのに、若い社員には求めるものだからヘンな話である。確かに、中国やインドのエリートは日本のエリートよりも勉強しているし、自国の企業よりも条件はいいから懸命に働くだろう。だが、どこに日本国内の本社で日本の若者より他国の若者を多く採用する国があるだろうか。他の大企業も新卒を取らなければ間違いなく日本国内は荒れる。日本の若者は就職先が見つからないからと今でもそんなにしない勉強をしなくなり、大学進学さえあきらめて引きこもりかニートは今より増えるだろう。 このような事態になったら、優秀な若者ほど真っ先に日本を離れ、国外に逃げ出す。人材流出に歯止めがきかなくなり、日本経済は崩壊する。それぐらい大きなスケールの経営判断だといえるのだ。 実際、若者は楽天やユニクロを見捨てている。ある就職情報サイトが新卒に行った就職希望企業人気ランキングによると、楽天は227位、ユニクロは262位。ベンチャー企業が若者から選ばれなくなったら、誰が選ぶというのか。 企業の受付や広報などで外国人が働いている姿はほとんど見たことがない。つたない日本語で日本人の顧客と接するのは許されず、海外の顧客と英語で接するのは許される。これは日本に来た外国人留学生を差別しているようなものだ。 もし外国人を企業に受け入れるのなら、日本人と同じポジションにつけてはじめてグローバル化が実現するのではないだろうか。自分たちの不得意な分野だけ助けてもらおうという身勝手な考え方では、企業の経営方針も理解してもらえないのは当然のことだろう。日本の大学生の英語力は×、だから外国人留学生という安易な考え方ではたして経営そのものがうまくいくかどうかは10年後にわかるのだろう。
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