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なぜ英語の先生は「コミュニケーション重視」が嫌なのか?
2016年 5月 16日(月曜日) 00:00

今まで見てきたように、生徒が苦しんでいるのは文法、和訳とテストです。コミュニケーション重視の英語教育によって苦しむのは、生徒ではなく、「文法・テスト大好きダメ出し専門」の英語の先生です。



英語の先生から怒られるのを承知で言ってしまいますが、実は文法解説、和訳中心の授業をやるのは、とても楽なのです。


予習が大変?そんなことはありません。先生は高校の時から英語が得意で、大学でも4年間英語を勉強しているのですから、中学生や高校生を教えるくらいの十分な英語の知識があるはずです。予習などあっという間に終わってしまうはずです。


その上、教科書には「ティーチャーズ・マニュアル」なるものがあって、本文の全訳や練習問題の解答から、語句や文法解説まで、ビッシリのっています。最近では、訳や解説、問題の解答が赤字で印刷されている「教師用教科書」もあるくらいです。表紙は生徒のものと全く同じなので、生徒から見たら、先生は自分たちと同じ教科書を使っているように見えます。教科書会社の涙ぐましい営業努力の賜物というわけです。


「(学校の先生は)ほぼ全員がいつ身心を病んでもおかしくない状況で働いているのです。」

「英語教師たちは過労死線上の労働環境の中で必死の努力をしています。」


先生方は繰り返しこのような主張をされています。現場の教員としては本当にありがたいと思いますが、一方、自分を含め、英語の先生が生徒を苦しめてきた(今も苦しめていることを考えると、複雑な気持ちになります。


専門家と呼ばれている先生方は以下のように言っています。


遠藤利明・教育再生実行本部長は言いました。「(英語教育改革案に対して)現場の先生たちは反対していますね。よくわかります。今までなじんだシステムがガラリと変わるんだから。ただ、私たちは先生のためではなく、生徒のために改革するのです。」と。


それはあまりにも先生方に対して失礼です。(中略)先生方は国の教育政策が変更される度に、その精神を遵守しつつも、学校実態にあわせて、最大限の教育効果が上がるように必死の努力をしているのです。たくさんの英語の先生方が今回の「提言」に異を唱えているのは(中略)それが生徒のためにならないと考えるからです。ぜひ一度、先生方の研修会にお出かけください。ほぼ毎週、私利私欲を滅して、真の英語教育改革に取り組む先生方のひたむきな姿をご覧になることができます。


あまりにも多忙な状況を訴えていただけるのはありがたいのですが、私は、先生が言っているような、「英語の仕組みを理解させるための指導」こそ、「生徒のため」にならないと思っています。


研修会での「私利私欲を滅した」「ひたむきな姿」というのも言いすぎです。とても言いにくいことなのですが、ここで少し、私が見た「ひたむきな姿」についてお話ます。


みなさんは、研修会に積極的に参加しているのは熱心な先生だと思われるでしょう。実際、熱心な先生も中にはいます。ですが、みんながみんなそうではありません。「私利私欲」のため、つまり有名な大学の先生や、教育委員会のお偉方に認められたい、願わくば次の異動はコネを使ってもっと優秀な生徒がいる学校に行きたい、大学の先生になりたい、天下りしたい、という人も大勢いるのです。


実は私も、若手教員対象の研修グループで指導役を務めたことがあります。今まではヒマもやる気もなかったのですが、はじめて今の学校で手ごたえを感じたので、それを多くの先生に知ってほしい、できれば多くの学校に広めたいと思い応募したところ、他に手を上げた人がいなかったようで、私が指導役を務めることになりました。


研修では毎月1回以上、平日の午後に学校を空けなければなりません。その間、授業は自習になり、部活動や他の仕事でも同僚に迷惑がかかります。毎回、頭を下げて出張していました。いつも「またですかー」と言われながらです。生徒からは「先生、今年休みすぎ!」と言われたり、「これからも、ずっと自習でいいですよ!」と皮肉っぽく歓迎されました。


ところが驚いたことに、研修に集まってくる若手の先生には、迷惑をかけているという意識がまったくないのです。研修を主催する教育委員会の指導主事も「あなたがたは本当に熱心で、優秀な先生方です」といつも言っています。おかしいと思いませんか?


私は「自分たちがどれほど同僚と生徒に迷惑をかけているのか、よく考えてみてください。その分、必死になって研修してください」と何度も言いましたが、「熱心で優秀な先生」にどこまで伝わったかは疑問です。現実には、研修に行きたくても行けない、目の前の生徒に向き合うので毎日必死、という先生が現場を支えているのです。


逆に、研修に参加しないし、「コミュニケーション重視」などお構いなしに、30年前と変わらない文法訳読授業を平然と続けている先生もいます。生徒が訳せなければ「なんで予習してこないんだ」、テストの点が悪ければ、「もっと努力しなさい」と、生徒を叱るばかり。過労死寸前どころか、毎日定時退勤です。


みなさんも経験上よくおわかりかと思いますが、世の中いろんな先生がいるのです。先生が誰でも「私利私欲を滅して」「日々研修に励んでいる」というのは、やはり言いすぎです。