英語ができるようになるって、どういうことなのですか? |
2015年 3月 06日(金曜日) 00:00 | |||
私が住んでいる千歳市と言うところは、北海道で1番の都会である札幌市の東にある人口十万人強の町です。そんな町でありながら、北海道に来るのならまず新千歳空港を利用しなければなりませんので、いわば北海道の玄関口ともいえます。 外国人観光客も、他の観光地に比べれば少しではありますが、見かけることも多くなってきました。そのような場所ですので、町の中を歩いていると、たまに外国人の方に出会います。 私は基本的に、外国人の方が歩いていたら声を掛けます。たとえ困っていなくても、軽く話すくらいであれば応じてくれますし、むしろそういう現地の人とのやり取りを楽しみにしてくる方も大勢いらっしゃいます。さらに、困っていることがあればできることがあるかもしれないからです。 ある時、香港の方から来た若い男性2人組に合う機会がありました。話しかけてみると、彼らは札幌に住んでいる日本人の友達を訪れて日本に来ていて、今日は彼が仕事のため、時間をつぶすため千歳市内を観光しているとのことでした。 彼らは話しかけた私に渡りに船とばかりに質問してきました。 「ニセコはどこにあるの?」これには簡単に答えられました。こういう時もあろうかと常時持ち歩いている北海道マップを渡し、「今ここだから、こっちをこう行くと」と説明します。 その後、彼らはもう1つ行きたいところがあると言いました。私は「どこに行きたいの?」と訊いたのですが、彼らは顔を見合わせました。2人の話を聞いていると、どうも何というところに行きたいのか、名前を忘れてしまったようでした。 そこで、その場所の特徴やそこで何をしたいかを聞き出し、どうもとある場所しか思いつかないのでそこの施設の名前を言ったら、「そこだ!」となり、空港からそこへ向かう道順も教えました。 この話から私が伝えたかったことは、目的地が分からなければ、いくら地図があっても行き方を教えることができないということです。場所の名前さえ分かれば、地図と合わせて道順を説明することはそれほど難しくありません。 しかし、地図を持っていたとしても、またはカーナビを持っていたとしても、もし目的地が分からなかったとしたら。あなたはどこに行きたいかわからない人に、道順を説明することができますか。または行きたい場所についての名前や電話番号、住所の情報がない場合、いくら高性能のカーナビを持っていたとしても、そこにたどり着くことができるでしょうか。 カーナビは目的地の情報があって初めて入力し、設定することができます。それが分からなければ、設定自体が不可能です。 これ、英語や語学に関しても一緒なんですね。 私たちは、目的地に関する情報がない場合、そこにたどり着けないことを知っています。でも、英語学習に関しては、目的地の設定がない場合が多いのです。そしてそのために、自分が本当に得たい結果を得ることができないのです。カーナビで目的地を設定した場合、どこからどこまでがどれくらい時間が必要で、最終目的地までおおよそ何時に到着するか表示されます。 もちろん、運転している間に変わることもたくさんありますが、大体の時間が分かるのと全く分からないのでは、雲泥の差となってしまいます。 ほとんどの方の英語学習は、例えて言えば全く土地勘のない場所を地図もカーナビもなしで運転しているようなものです。さらに、行きたい場所の情報が全くない。名前も知らなければ、誰かに尋ねることもできません。 これではいつまでたっても目的地にはたどり着けないでしょう。そのため、英語教室に通わせる場合、最も重要なのはその目的地に関する情報を手に入れることです。目的地がしっかりすれば、そこに徒歩で向かうのか、それとも車で行くのか、電車を使った方がいいのか、または飛行機を使っていくべきなのかが分かります。そこに向かうための手段が出てきますので、自分の予算と到着までにかかる(かけられる)時間を比べながら、決めていくことができます。 そうしてから初めて自信をもって前進することができるのです。「こうなると英語が使えるようになる」というのが分かれば、そこに向かって努力をすれば、いつかはたどり着きます。英語が話せるようにならないというのは、つまりこの目的地に関する情報・理解が少ないからだということができます。 この場合の「目的地」と言うのは、言わば目的とは異なります。あくまでも、「英語が使えると言える状態になるための必要なスキル・知識」であって、「なぜ英語を学ぶか?」という質問に対する答えではありません。 そのため、これからお伝えする「目的地」はどんな人が英語を学んだとしても、同じです。人によって違うということはないのです。 ただし、英語を学ぶ理由(目的)も英語学習にとって非常に重要です。英語を学んでいる子供たちの中でも特に一生懸命行っている子供たちの特徴を調査すると、自分自身で目的をもって学んでいる子が高い結果を出しています。 例えば、将来ヨーロッパのクラブでサッカーをプレーしたいから、アメリカの大リーグでプレーしたいから。経営の勉強をするためにアメリカの大学に留学したいから。そういった具体的な目標を持っている子供たちは、正直強いです。 語学は楽なことばかりではありません。思い出してみてください。あなたが中学生だった頃、英語の勉強は楽でしたでしょうか。大変だったのではないでしょうか。 文法は語学を身に付けるうえでとても重要な知識ですから、その同じ道を子供たちもたどらないといけないのです。必ず英語を覚えていく過程において、子供たちに負担が掛る時がやってきます。その時に子供たち自身で乗り越えてもらうには、明確な目的があるとないとでは大きな違いになります。 「目的地(目標)」と「目的」の違いは、「目的地(目標)」はすべての人が向かう「同じ場所」であり、「目的」とは一人一人違う「動機」と言えるでしょう。 それでは、「目的地」=「英語ができるようになる」ということは、いったいどういうことなのでしょうか。あなたの子供がどのような状態になった時、「英語ができる」と言えるようになるのでしょうか。 「英語ができる」と言う状態は、あなたの子供が英語の文法・発音・単語について知識があり、そのために言語の4スキルと呼ばれる聞き、話せ、読め、書けるようになったことを言います。これらをすべて身に付ければ、英語が使えるようになるのです。 スキルは使えば使うほど磨かれます。知識は覚えて増やしていく必要があります。スキルと知識は学習方法が違うのです。それが分かっていないと、本当に効果的な英語学習法が分かりません。これが分かっていない先生から教わると、レッスンは行き当たりばったりになります。 今、子供たちがどのスキル・知識を学ばなければならいか、そのためにどういうレッスンを行うか、それが分からないためです。そのため、文法軽視の歌って踊ってばっかりのレッスンになってしまったり、プリント(テキスト)重視で話すことを軽視した(ないしは先生が話せないためにできない)レッスンになってしまうのです。 「今やっている子のレッスンは何のためのレッスンですか?」と試しに聞いてみてください。はっきりと答えられる先生は本物です。もし答えられないのであれば、その英会話教室は考え直した方がいいかもしれません。 他の言い方をすると、あなたが子供のために検討している英会話教室が、ここにある全てのスキルを磨き、知識を学ばせてくれるレッスンを提供しているかどうか見極める必要があります。 先ほどもお伝えしましたが、文法を軽視して学ぶ機会が極端に少ない場合は要検討としなければなりませんし、いくら高いレベルのプリントを行うとしても、聞く、話すということを実際の体験を通して学ぶことができない場合、同じく要検討としてなければなりません。
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