集客形態で比較 プロの目で英会話スクールを徹底比較④ Atlasの会員制語学スクールのサプライチェーン・マネジメント |
英会話・語学スクールの選び方 決定版 | |||
2014年 12月 27日(土曜日) 23:41 | |||
Atlasマンツーマン英会話のビジネスモデル(会員制語学スクールのサプライチェーン・マネジメント) ■Atlasのビジネスモデルは、実は私たち一般庶民の中で最も興味深い集客方法です。楽天やソフトバンクのようなITベンチャー企業や大手スーパーのコストコに詳しい人なら知っていると思いますが、ブロードバンドの発達により今までの集客方法は通用しないと言われはじめています。 専門的な話は細かくはしませんが、突き詰めれば「マンツーマン」と「サプライチェーン」にというビジネスモデルに当たります。 ■Atlasのマンツーマンレッスンは全国の大都市の中心地に複数の教室を持ち、その教室でもレッスンを受けることができる上、オフィスやカフェなどへ講師を派遣させる手法です。プライベートレッスンを採用しているということと、あとは価格で十分売ることのできるアイディアでありますが、実はそこにはあまりうまみがありません。なぜかというと、それだけなら簡単に真似をされてしまえば、お終いだからです。そうなるとあとは価格競争で、時間あたりの単価を低くしたほうが市場のシェアを握ります。しかし近年、そのシェアを握ったのがAtlasマンツーマン英会話です。 英会話スクールとしては珍しく、担当講師に直接レッスン料を払う「毎回払い制」と高学歴の日本人スタッフの担当制を導入したところが驚きに値します。 確かにプライベートレッスンはそれ自体がマンツーマン集客法(個人のニーズに合わせて商品やサービスを提供する集客法)ですが、毎回払いという画期的な支払い方法にまで手を出すのは異例です。なぜなら通常、レッスン料金は一旦教室で預かり、その後に各講師に税金を天引きした給料を支払うのですが、もちろん金額にもよりますが、日本の治安が徐々に揺らぐ中、盗難や強盗などの危険性もあり、一般のスクールの営業員では大金を保管しておくことには荷が重いのです。しかも経営上、税金などは各講師に委ねているので売上に直結しないと多くの経営者が考えていました。 Atlasの料金体系を見ると「月会費」というものがありますが、とてもペイできるとは思えません。非常に思い切った事にチャレンジしていますが、設立して20年以上悲鳴一つも上がっていないところを見ると成功しているでしょう。 「人が命」は、何もGABAやCOCO塾に限ったことではありません。自宅学習サービスは余力のある中で見習う価値は十分にありますし、間接効果はもちろんあります。 ■サプライチェーン・マネジメントというのは、簡単に言うと、注文を受けて製造を外注で発注し、支払は自分のところで受け取るという実に都合のいいシステムです。しかし、コンピューター販売のDELL(デル)やスーパーのCOSTCO(コストコ)などはこの手法でアメリカのトップ企業になりました。まさに実証済みというわけです。 この手法の説明の難しさは日本では適当な企業を見つけることができない、ということにあります。Atlasの場合は、講師という「人材(人件費)」とレッスンルームいう「場所代」、そして法人税という「毎年変動する予想が立てづらい税金」の、英会話スクールにとって最も負担となる経費を削減できたことにあります。大切なことはその金額が入会した会員にも還元されているということなのです。 この見事さに気がついたのは私たちだけではありません。某有名コンサルタントのセミナーでも引き合いに出されるくらいですから、日本で成功した極めてレアなケースだといえるでしょう。しかし、これからスクールをオープンさせる経営者には非常に取り入れやすい、いいシステムです。 首都圏や関西では、いくつか同じ形態のサービスがありましたが、皮肉にもこのマーケットのシェアを握ったのが北海道発のAtlasであったのはタダの偶然ではないでしょう。 ■AtlasのビジネスモデルはイーオンやECCのビジネスモデルとは全く正反対のビジネスモデルです。しかし、今後はこの集客スタイルは必ず強力なパワーを持つようになるでしょう。Atlasほどのノウハウを真似することは難しいでしょうが、効率よく取り入れる企業が多くなるということは予想するのに苦労しないでしょう。 2015年の時点で、この業態のスクールはAtlas以外にもセブンアクトやイングリッシュビレッジなどがありました。しかし、現在はオンライン英会話スクールが隆盛になっています。オンライン英会話スクールは新規参入が多い分、また市場が成熟期を迎えている分、価格競争が激化しています。 私たちが注目するAtlasは、この時期にやはり効果的な手法を打ち出してきています。それは価格戦略に現れているからです。 「オンライン英会話スクールeAtlas」がそれです。市場参入が多いこの時期にあえて高額な商品を打ち出し、新たな市場を作ろうとしています。もっともこれが成功するかどうかはAtlasが顧客とのマンツーマンの関係をきっちり築ければという条件付きのものです。また、従来の商品との同時販売をするリスクもあるでしょう。商品のイメージやターゲットが違うものを同じ組織の中でどのように販売していくのか。並のマネジメント力ではシェアを奪うことはできないでしょう。
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