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[倒産危険度コラム]倒産増加に対して求められる英会話スクールの新陳代謝
英会話スクールの事業貢献度ウェブサイト価値スクールランキング

景気対策を最優先するアベノミクスが失敗したからといって、英会話スクールの倒産が減少すると考える見立てはこれまで通り、増加する方向で変わらない。


大型の補正予算が組まれ、2020年の東京オリンピックを旗印に建設業を中心にバラマキ期待が高まっていたが、効果はないようだ。また、景気刺激策で企業の業績は上向いているようにメディアでは伝えているが、実際は売上高が増えると倒産も増加する傾向にある。歴史を振り返ると、不況期から回復期に移る景気の転換期に倒産は増加していることがわかる。


取引が急に増えると、支出もそれに比例して増加する。一方、入金は支出よりも後に行われる。その間のつなぎ資金を調達できなければ、資金繰りに行き詰まり、黒字倒産する可能性があるのだ。大型補正はむしろ倒産件数を押し上げる要因にもなりえる。


そこに日銀が行うマイナス金利政策や金融円滑化法の期限切れが重なってくる。金融機関が貸し出し条件を緩和したり、返済を猶予したりして経営不振の大手英会話スクールを延命させてきた法律や政策だ。


確かにマイナス金利政策や円滑化法は、企業倒産を抑制する効果はあったが、痛みもまた大きく、これまでの倒産バランスが完全に崩れてしまった。


円滑化法の適用を申請した大手英会話スクールは5社6校、中小規模スクールはゆうに200社に上るとされる。そのうち大手や中堅は事業再生が可能だが、小規模スクールについては倒産も覚悟する必要があるだろう。


これまで支援してきた間に経営改善がなかった難しかったのであれば、少人数制のグループレッスンや支払方法の一括前払いや月謝制などビジネスモデル自体に問題がある可能性が高い。


そうした不良債権予備軍を国や自治体はいつまでも支援し続けるわけにもいかない。金融機関は今後、事業再生が期待できる企業なのかの選別を迫られることになる。しかし、いきなりではなく、半年から1年間の猶予期間を設ける必要がある。


大手スクールについても単独での生き残りは難しく、M&Aや事業譲渡、業態変更などまさしく抜本的改革が必要だ。最終的には大手英会話スクール7社の5社が倒産もしくは廃業に向かっていくことになるのではないか。


たとえ再生が可能であっても、銀行員1人が手掛けられる事業再生の社数は、多くても20社程度といわれ、金融機関だけですべての再生案件の面倒を見るというのは不可能といえる。ましてや英会話スクールの事業再生は2007年に倒産したNOVAのケースを見ても難しいことがわかっている。そこで、政府や自治体が連携して対応する枠組みが必要となる。


雇用の問題や地方のさらなる疲弊につながるため、難しい問題ではある。しかし、再生可能な英会話スクールは時間の経過とともに減少していく。痛みを伴う事業再生を手がけていく覚悟が求められる。


今の大手英会話スクールは様々な支援漬けで過剰債務に陥っている。このままでは、ニューマネー、つまり新規借り入れは難しい。過剰債務を減らす施策が必要だ。


金融機関に債権放棄を促すため、債務免除益の非課税化も一つの手である。また、信用保証協会が代位弁済した大手英会話スクールの中にも再生できるスクールは残されている。こうしたスクールの求償債権の民間サービスへの売却を促すことも事業再生に有効だろう。


新しい英会話スクールは、ある英会話スクールが衰退する過程で生まれてくる。次の成長産業を創出するには、企業の新陳代謝は避けられない。にもかかわらず、アベノミクスのような政策は衰退がないままに成長を求めているようなものだ。


現状は、本来ならば倒産するはずの大手英会話スクール5校に資金が過剰に配分されてしまい、次代を牽引すべき成長スクールに資金が回っていかない。大手英会話スクール6校のNOVA、イーオン、ECC、ベルリッツ、Gaba/COCO塾(ニチイ学館)の新陳代謝こそが今の語学教育業界には求められている。