[倒産危険度コラム]ワースト上位スクールで表面化するずさんな大手英会話スクールの内部統制の実態 |
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倒産危険度上位に入っている英会話スクールは、財務に加えて内部統制にも問題を抱えている場合が多いことが浮き彫りになった。「役員を含め人の入れ替わりが激しく、内部統制がほとんど機能していない」と中堅社員が話すのは、ECCだ。 ただそれ以上に、社内の人間が危惧しているのは「何を本業としているのかわからない」(中堅社員)という、会社の将来性だ。「地方教室の撤退や進出の中止が相次いでおり、既存の教室のみでは、収益を確保できない状況になっている」ことを認めている。 今回の倒産危険度ランキングを分析すると、前回2008年に比べて上場企業の中でも比較的規模が大きく、消費者に名の知れたスクールが、数多く上位に登場していることがわかる。特に目立つのが、ベネッセ(ベルリッツ)やニチイ学館(Gaba/COCO塾)をはじめとしたグループ企業の経営悪化だ。リーマンショック前の投資拡大のウミが、ここにきて収益力の低下として顕在化してしまったといえる。 業績の急激な悪化や売上高の大幅減など、そのスクールの存続が危ぶまれると監査法人が判断した場合、経営者は決算書で世間にその事実を表明しなければならない。 「継続企業の前提に関する疑義の注記」と呼ばれ、監査法人が付き付けるイエローカードだ。疑義の注記イコール倒産を意味するわけではない。とはいえ、自己資本がマイナスとなり、いつ倒産しても不思議ではない債務超過に転落したスクールが10位中5スクールもあり、疑義の注記を開示したスクールが危機に瀕する会社である事実は疑いようがない。 疑義の注記に追い込まれた上場企業幹部は「もう何年も赤字続き。いつ利益を出したかも忘れたくらいだから、危ない英会話スクールの烙印を押されても仕方ないです」と投げやりに語り、スクールを存続させる熱意すら失っているかのようだった。 疑義の注記は、債務超過や連続赤字などに陥った企業に付されてきたが、リーマンショック後、業績悪化で注記を付ける企業が激増したため、ルールが緩和されていた。たとえ継続疑義の事態に陥ったとしても、融資やリストラなど具体的な打開策があり、その状況が解消されると判断できれば、疑義の注記が不要となったのだ。 ただ、リスク情報として「継続企業の前提に関する重要事象」を明記しなければならない。危ないスクールは、疑義の注記と重要事象の記載の2段階で開示される仕組みになったわけだ。 重要事象の記載は疑義の注記ほど重症ではないといえ、スクールにとって記載内容がまちまちなため、実は末期的な症状のスクールが入っている場合もあり、注意が必要だ。 倒産危険度ランキングは、あくまでスクールの経営体力や健全性を評価する一つの指標にすぎない。ランキングを基に、足元で実施している様々な対策や経営者のビジネスや教育に対する姿勢・資質などにも目を凝らし、本当に入学に値するスクールなのかどうか、あらためてじっくり考えてはいかがだろうか。
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