「あなた、英語話せるようになったじゃない!」と言われ、話せることに気づきました |
2015年 5月 01日(金曜日) 00:00 | |||
心の片隅ではこのままではいけないと思っていましたから、ニュージーランドからオーストラリアに戻ってきてからは、いろいろな国からオーストラリアに来ているネイティブではない若者が集まるところに顔を出すようにすることにしました。そこでは、30代後半くらいの韓国人女性が指導役となって、主に日本人と韓国人の20代くらいの人たちが英語を学んだり、英語でのプレゼンテーションの方法を学んでいました。 そんなある日のことです。日本人同士で何人かが集まり、当時アパートを借りて1人で住んでいた人のところに泊まりました。その夜、私はふと目を覚ましました。そうすると、とても苦しそうな声で、「Help…」と聞こえるのです。落ち着いてよく聞いてみると、友達の1人が苦しそうにおなかのあたりを押さえながら脂汗を書いて、か細い声で言っているのだと分かりました。 私は起き上がって、「Are you ok? What's wrong?」と声を掛けました。彼は苦しそうに、韓国語か中国語のような言語で「ぺガアパ…」とか言って、うずくまっています。 ただことではないと分かった私は、すぐに「困ったら連絡するように」と言ってくれていたシドニー在住の日本人の知り合いに連絡をしました。彼は夜中に電話がかかってきたのでびっくりしたようですが、ただ事ではない様子だと察してくれたようで、話を聞いてすぐに、救急車を呼んでくれました。 翌々日、私たちはクリスさんに連れて行ってもらい、彼をお見舞いに行きました。彼のおなかが痛かった原因は、急性虫垂炎だったようです。手術も無事に終わったということで、衰弱した友達の姿がありましたが、安心したような笑顔もありました。 それから何度か彼をお見舞いに行ったのですが、そのうちの1回、韓国人の指導役の方が車を運転してくれて病院に行ったとき、一生忘れられない言葉を彼女からもらったのです。 彼女は、入院している彼がどういう状態なのか、訊いてきました。その他、私たちが困っていることはないか、心配していることはないかやさしく聞いてくれていました。後部座席に私と他に日本人が2人乗っていたのですが、その質問に対し、私だけが答えていました。 そして、彼女は運転しながらバックミラーで私を見つめ、言いました。「あなた、英語話せるようになったじゃない」 私は、一瞬彼女がなんて言っているのか分りませんでした。でも、その意味が分かった時、私は聞き返しました。「え、英語話せていますか?」と。彼女は私の目をバックミラーから再度じっと見ると、うなずきました。この時に初めて、自分は英語が話せるのだ、と気づいたのです。このことから、英語を学んでいく際に、英語が話せるようになる時は突然来るということを知りました。 言葉って、本当に不思議なものです。簡単な英語が話せるようになったと言って、調子に乗ってクリスさんファミリーともよく話すようになりました。 正直、今思うと「こいつは何を言っているんだ」と思われたことが1度や2度ではないでしょう。「話せる」と言っても、例えて言えば長い道のりのようやくスタート地点に立ったようなもので、とても深い内容まで会話できるレベルではまだまだなかったですし、ジョークなんて1つも言えませんでしたから。 しかし、英語を使って、ある程度の意思疎通ができるのです。しかも、英語で聞いて、英語で返しているのです。今まで必要だった「頭の中での日本語の通訳」は必要なくなっていました。その時は分らなかったのですが、これが「英語脳」だったのだと今では理解できます。 前述しましたが、4つのスキルと3つの知識を統合する英語脳が、まだまだ初期段階ではありますが、身についてきていたのです。この時の経験から、ある程度知識とスキルが身についてきたら、「英語脳」の習得が重要であることを身に染みて理解しました。私が英語相談に乗る時や、自分の英会話教室で生徒さんたちを教えている時は、できるだけ早い段階でこの英語脳を身に付けてもらうための練習をしてもらうようにしています。
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