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キャンペーン期間で行き詰まったマネージャーが、自分の知り合いの男性を入学させたのですが、その人が３５歳くらいの、どうしようもないスケベおやじだったのです。

 「君、かわいいねぇ。今度デートしようよ」

と最初は冗談みたいにして言ってきたので、 私も軽くかわしていたのですが、ある日そのおじさんからかなりしつこく

「おじさんとデートしようよ？」 

と、体に触れられ誘われました。

 「そんなことをしたらマネージャーに叱られます！」

 「いいんだよ。だってマネージャーさんは、俺の後輩と付き合っているんだから」

そのときまで、わたしは、てっきりマネージャーとその人が昔付き合っていたんだと思ったんです。

話を聞くと、その人は、工場で使う機械の輸入商社に勤めるサラリーマンで、大学時代の後輩がマネージャーと付き合いたいそうなのですが、今はもう別れて、彼の方は別の彼女がいるようなのです。

ですが、マネージャーも追い詰められていたのか、昔の恋人に助け船を求めたんですね。そうしたら、そのスケベおやじがちょうど、英会話をやりたいと思っていたらしくて、マネージャーが入学金を負担するという条件で入学したのだそうです。

 しかし、わたしはその男性がどうも虫が好かなかったので、どうしてもデートをする気持ちにはなりませんでした。自分のお客さんなら、それだけ誘われたら一度くらいはデートしてあげてもいいんですけど、マネージャーのお客さんと、しかも好きでもない相手とデートする義務もありませんでしたので、相手にしなかったんです。

その人は、レッスン中で、受付に誰もいなくなったところを見計らってやってきては、わたしに近づくのです。

 「やっぱり君はかわいいよ」

わたしは気持ちが悪いから、無視して営業の電話をかけたりするのですが、横に来て、お尻を触ったりするのです。

そして、とうとう下まで手が伸びたときには、ちょっと大きな声を出してしまいました。

 「キャアー、止めてください」

「そんな声出さないでよ。この学校やめちゃうよ。そうしたらマネージャーさんがかわいそうだろ？」 まるで脅迫です。

これぞセクハラの見本のようなものですが、わたしはマネージャーさんいよくしてもらっていましたから、あまり事を大きくしてたくなかったので、マネージャーに言って注意してもらったんです。

それ以来、多少悪いと思ったのか、ケーキをおみやげにくれたりして、セクハラまがいのことはしなくなったのです。まったく、人の弱みにつけこんで、卑怯な奴だと思ったものです。