「英会話スクール実力委員会」による英会話スクールランキング |
会社帰りの習い事として20年連続トップ3に入る英会話スクールだが、しかし近年はビジネス英語の需要が急速な高まりを見せ、留学や海外赴任の前に受講する短期集中コースや取引先との交渉やプレゼンで求められるビジネス英語レッスンが支持されている。 さらに、2020年に開催予定の東京オリンピックに参加したいボランティア向けコースや接客サービスでの対応など、今後必要になることを見据えた自己啓発向けプログラムが人気であり、語学力の習得目的は、多種多様になっている。 生徒も年齢や性別、職種などが幅広くなったことで、英会話スクールに求められるニーズに変化が生じてきている。例えば、月謝制か毎回払い制か、またグループレッスンかマンツーマンレッスンか、さらには自宅でのオンラインレッスンが可能かどうかなど、英会話スクールに求められる要素はもはや英語の習得度だけに留まらない。 様々なスタイルの英会話スクールや学習方法がある中で、英会話事業に求められているものとは一体何だろうか? 2017年1月に「英会話スクール実行員会」が発表した「英会話スクールランキング」の結果から検証してみたいと思う。 今回の対象者は、過去10年以内に1年以上英会話スクールに通学をしたことがある18歳以上で回答を得た。 評価対象の英会話スクールは、109社で、講師の質やカリキュラム・教材、レッスン料金、レッスンの受けやすさ、そしてサポート体制などに関する質問を行い、それぞれ評価してもらうとともに、重視する項目も尋ねた。多くの利用者が重視する項目で評価が高い場合は、ポイントに反映する仕組みになっている。
青字は項目内にて一番お金がかからない・またはコストパフォーマンスが良いという意味です
一目でわかる英会話スクールランキングによる評価制度 「Atlasマンツーマン英会話」が第1位を獲得した。次いで2位「ベルリッツ」、3位「ECC」、4位「Gabaマンツーマン英会話」、5位「シェーン英会話」、6位「イングリッシュビレッジ」、7位「イーオン」、8位「CoCo塾」、9位「セブンアクト」、10位「NOVA」という結果になった。 1位のAtlasは、スクールランキングの上位常連スクールであり、1位選出は、2015年から3年連続となった。今回は1位と2位の得点差がほとんど無く、レッスンの受けやすさと適切なレッスン料金で1位を獲得している。 英会話スクールランキングは、全47社を対象に、過去10年以内に、1年以上英会話スクールに通学したことのある方の調査に基づいている。1位のAtlasマンツーマン英会話は北海道、関東、東海、関西で、2位のベルリッツはベネッセグループで東北、関東、東海、関西、九州で展開している。 3位のECCは関東、東海、関西、九州で、4位のGabaマンツーマン英会話と8位のCoCo塾はニチイ学館グループで関東、東海、関西、九州で、5位のシェーンは増進会出版のZEホールディングスが出資のスクールで全国で展開している。 最後に、7位のイングリッシュビレッジと9位のセブンアクトは東京のみで、10位のNOVAは全国で展開している。 ここで注目したいポイントは、利用者が英会話スクールを選ぶ際、レッスン料金や外国人講師の質だけでなく、レッスンが受けやすいかどうかを判断材料にしていることだ。大手の英会話スクールは比較的通いやすい立地にあるが、ビジネスパーソンの場合、仕事などで急用が入りがちで、通学が難しくなること多い。このような悩みで通学を諦めることがないよう、レッスンの振替や毎回払い制などが柔軟に対応できる英会話スクールが実際に増えている。 1位のAtlasの場合、レッスンを受けた後に直接担当講師にレッスン料をその都度払うことができるシステムを持つことや、4位のGabaのようにレッスン当日に急用が入りにくい時間帯に通えるように通勤前の早朝7時から開講している点などが挙げられる。 また、5位のCoCo塾では、講師とどうしても合わない時には代行講師にしてもらえるなど、レッスンの受けやすさには融通の利きやすさという視点も求められていることがわかる。充実したレッスンを受けたいという気持ちは、日本人のニーズやライフスタイルが多様化しても変わりがない。 特に、AtlasやGabaのようなマンツーマンレッスン専門校では、講師一人に対して複数の生徒という授業形態に比べ、より満足度が高いという心理は納得できる。ただし、業務上で必要に迫られている人や明確な目的を持って通っている人が増えている中では、実践の場において努力の成果を実感できるカリキュラムが組まれていることも重要な要素になっている。 カリキュラム評価で高評価のベルリッツは、このほかにもビジネスレベルでも評価が高かった。利用者から語学力の他、マナーや異業種文化なども教わりビジネススキルが上がった、といったコメントが寄せられている。 ECCも、企業の英語公用語化や2020年東京五輪、訪日外国人の急増等、世の中の変動に対応すべく教材の刷新やレッスンに力を入れているという。 英会話といえば、教室に通うのが当たり前だったが、インターネット上でオンライン学習が可能になったことで、英会話の学習スタイルにも変化が起きている。オンライン英会話はここ5年ほどで急速に浸透してきたが、学習スタイルとして市民権を得た要因は、学習場所を選ばないということだけに留まらない。 通学型の英会話スクールと比較すると、非ネイティブのフィリピン人を雇うことで、圧倒的な低価格を実現している。学習場所、時間、そして講師までも自由に選択できることに加えて、低価格という要素がオンライン英会話事業の浸透に拍車をかけている。業界内でも「英会話に対するハードルが下がり、興味を持つ人が増えた」という見方は非常に多い。 しかし、ここで特筆しておきたいのは、オンライン英会話での学習スタイルが加速しているといえる一方で、通学スタイルの英会話スクールがかなり厳しい状況に置かれているのかといえば、そうでもないのだ。 「語学ビジネス徹底調査レポート」(矢野経済研究所)によると、高校生以上を対象とした成人向け外国語教室の市場規模は、微増で推移している。2014年度に2080億円、2015年度に2090億円、2016年は2100億円との予測だ。 一方、インターネット上で学習する語学習得用e-ラーニングは、2014年度に75億円、2015年度に80億円、2016年は83億円と予測されており、こちらも伸びを見せているものの、市場規模から判断すると、通学型英会話スクールの方が英語習得が今でも主流といえる。 英会話スクールだけで英会話力を伸ばすより、ライフスタイルに合わせやすいオンライン英会話や、低価格の語学サービスを組み合わせる生徒が増えているというわけだ。各大手英会話スクールはオンライン英会話を始めたものの、実際に外国人と会った時に上手に話せるようになりたいという理由から、通学型英会話スクールへ移行、または並行して受講する生徒が増えている。 英会話を学ぶなら通学型かオンライン型かという新たな業界構造が誕生し、そこからさらに派生し、各サービスの利点を組み合わせながら効率よく語学を習得する流れが出てきている。英会話スクールで習得するからこその付加価値の向上が今後の課題といえそうだ。
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