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何はともあれまずは多読をすること
2016年 6月 27日(月曜日) 00:00

では、ここからは、実際私がこの10年間やってきた学校での英語の授業と、その授業を受けた生徒の様子を中心にお話しします。その気になればどの学校でも今すぐにできることばかりですし、学校を卒業した読者のみなさんにもできることばかりです。



残念ながら、「授業は英語で」と言われると、難しい教科書の内容や文法を英語で説明しようとしてしまいます。普段から英語を使っていないので、何気なく生徒に話しかけることもできません。以前、別の中学の先生の授業を見学したことがあります。


英語も比較的たくさん話していたのですが、例えば「プリントを見て」という、ふとした発言が日本語になってしまうのです。あらかじめ考えてきた台本で英語を話しているのでしょう。それでは英語で授業をする意味がありません。つまり、多くの先生にとって、英語というのはあくまで教科書や入試問題の中にしかない教材」になってしまっているのです。


そこで、多読・多聴です。私の学校では、図書館やCALL教室(LL教室)に、全部で一万冊以上の英語の本があります。ただし大人向けのペーパーバックばかりが、ずらっと並んでいるわけではありません。乳幼児向けの絵本、子ども向けノンフィクションや児童書、さらに日本のマンガの英語版といった、がんばらなくても読める本をたくさん揃えています。朗読CDも用意しています。


私が多読を知ったのは、今から15年ほど前なのですが、今ではいろんなところで話題になっていますので、みなさんも耳にしたことがあるでしょう。一言で言ってしまえば、「辞書を使わずに、読みたい本を読む」それだけです。日本語に訳さなくてもいいし、全部わからなくてもいい。全然わからないからつまらない、というのであれば、もっと文字の少ない絵本を読めばいいのです。


中学生や高校生が多読をする場合は、文字の少ない絵本や外国人向けの本もたくさん揃えておく必要があります。そして、朗読音声を聞きながら読んだり、オーディオ・ブックを聞いたりYoutubeで動画を見るのが多聴です。


学校では、少なくとも週に1回は多読・多聴授業をしたいものです。さらに可能であれば本を貸出できるようにして、読みたい生徒は授業以外でも読めるようにするのが理想です。


「本を読ませるだけなんて授業ではない。本は授業中でなくても読める。授業では、先生と生徒、生徒同士が関わる中で英語を使うようにしろ!」と言う方もいますが、実際には、家で読めと言ってもなかなか読んでくれません。学校の授業で、無理やり時間をつくることは大きな意味があるのです。この点については、後でもう少し詳しくお話しします。


英語の先生に多読・多聴の話をすると必ず聞かれるのが「予算はどうするんだ?」ということです。確かにお金はかかります。しかし、逆にお金がかかるからこそ、公的予算で、公的教育の場で、このような環境を整備すべきではないでしょうか。


私の学校には、現在約1万冊の英語図書と、約2,000冊分の朗読音声があります。5年間で750万円の予算を使いました。これは莫大な予算でしょうか?初年度に500万、あとは毎年50万円程度かけました。今後は、毎年10

円かそれ以下の予算で、破損した本を入れ替えていけばいいことになります。簡単に言ってしまえば、20年で1,000万円ほどあれば、充実した多読・多聴環境が作れるのです。


どうかよく考えてみてください。英語教育に関わる予算だけでも、毎年、国や地方では莫大な予算がかけられています。しかし、先生方が言う通り、その成果はほとんど上がっていません。それに比べれば、多読・多聴環境を整えることは、非常にコスト・パフォーマンスが高いのです。


また、地域の方にも学校の図書館を開放することができれば、まさに「自律的学習・生涯学習」奨励にもなります。こんなに素晴らしい税金の使い道が他にあるでしょうか。実際に、公共図書館で英語多読コーナーをつくっている自治体もあります。